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3)イギリス新生活とインテリアデザインの仕事


私の“インテリアデザイナーとしての今までの道のり”シリーズ 全4回の今回は3回目です。


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3)イギリス新生活とインテリアデザインの仕事


国際結婚を機にイギリス生活が始まりました。これからはイギリス生活が長くなります。期限付きで留学していた今までと違い、腰を据えて長い目で考えていく必要があります。


最初の数ヶ月は、まずはインテリアデザインのコースを取りながら、これからの可能性を模索していました。

イギリスにはイギリスのインテリアデザインの仕組みがあります。カナダから移った私にとっては今まで学んだことに加え”イギリスのやり方”を知りたいと思いました。


とは言え、実際にはしてみないとわからないことばかりです。まずは広くチャンスのあることにチャレンジすることにしました。


インテリアデザインのコースを終えるとインターンとしてデザイン事務所で経験を積む、というのが一般的です。その先を見つけるのも簡単ではないのですが、私は運良く、大中小と規模や扱う物件も異なる事務所で様々なプロジェクトに携わり経験を積むことができました。


イギリス国外のホテルデザインだったり、数億ポンドの再開発物件や、クライエントに近い立場の個人邸デザインなど。デザイン都市ロンドンならではの、マルチカルチャーな物件、クライエント、仕事で関わる人々。華やかに見える部分から地味な裏作業や様々な現実まで。約1年程でしたが、とても深く鮮やかな学びと経験の場になりました。



“これからどのようなインテリアデザイナーになりたいか” 

自分にそう問いかけながら、過ごす日々でもありました。



まずはイギリス生活に慣れようと日本人は誰もいない環境に身を置き、そこから学ぶことはとても多かったものの、気付けば日本が遠くなるように感じてもいました。

生まれてから30歳までの「日本人である自分」を消すことは不可能です。

これからもずっとイギリスにいることを思えば、それを生かして日本とイギリスを繋ぐようなインテリアデザイナーになりたい、と思うようになりました。


落ち着いたら日本に里帰りもしたいと思いつつも、1年半も戻れずにいました。両親はインターネットは使えず当時私が実家に電話をするだけでしたが、ある時1か月以上も繋がらないことがありました。何と母が病気で手術をし1ヶ月も入院、それもあり家をリノベーションして老後生活に備えたい、ということになったのでした。

両親が家をリノベーションするのであれば、ぜひインテリアデザイナーであり、その前に家族である私としてはできることをしたい。そのためにフリーランスになりました。そうしてできたのが、東京の実家です。(写真はこちら





2016、2017年は実家のリノベーションのために、年3-4回日本に行きました。

多くの友人達との再会もあり、そこから様々な方々を紹介されたりと日本でのネットワークも広がりました。


また私が英国で所属している「British Institute of Interior Design (英国インテリアデザイン協会)」という団体があるのですが、日本をベースに活躍しながらもそこに関わる方々がいらっしゃいます。

普段はロンドンかオンラインでしかお会いできない方々でしたが、私の日本滞在がきっかけで直接お会いすることができ、そこから多くのご縁にもつながりました。



その間にも、ロンドンで住宅リノベーションをさせて頂くチャンスが舞い込み、そのお客様のご紹介で、第2、第3、、、のお仕事につながり、多くのご縁に恵まれました。(ポートフォリオ写真はこちら)








初めて自分一人でこなすロンドンの現場は様々なチャレンジもありましたが、大工さん、職人さん、製品を購入する先のサプライヤーの方々に支えられながら、お客様に喜んで頂けたことはとても嬉しく、良い経験になりました。



その中で、

やはり「インテリアで日本とイギリスを繋ぎたい。

ロンドンベースの日本人デザイナーとしての仕事をしていきたい」という方向性が固まっていったのです。



ところでプライベートの話になりますが、子供を持つというのは、ずっと願っていたことでもありました。

まずはイギリスの生活を落ち着けて備えようと思っていましたが、落ち着く日など来ることもなく、目の前のことに邁進するうちに時だけが経っていきました。

もう38歳になり、このままではいけない、と不妊治療をスタートしたのはこの頃です。いつ叶うともしれないことを優先するのはかなり難しい部分もありました。でもその間でもできることをしようと思ったのです。

それは、学びを深めつつこれからに備えることです。

学びとしては、以前より興味のあった「インテリアの歴史」、特にウィリアムモリスと、ロバートアダムに代表されるネオクラシシズムを調べることにしました。イギリスの「お屋敷巡り」は以前より好きで良く行っていましたが、テーマに沿って調べながら訪ねることにしました。”ブログ:お屋敷訪問記” はこちら



ウィリアムモリスを巡る旅 ケルムスコットマナー



ヴィラロトンダ:ネオクラシシズムの源泉であるパラッツィオ建築



仕事面では、今までしていた住宅のインテリアデザインもできるだけ引き受けつつ、造作家具デザイン、バスルームデザインと続けていきました。









その他にも仕事の幅を広げるようにしました。


海外展示会に自由に行けるのも今のうちです。ロンドンはもちろんのこと、パリのメゾンエオブジェ、ミラノサローネにも欠かさず通いました。(いつもこれが最後かも、、と言いながら毎度通ってましたが。笑)




行く毎にそこでも多くの出会いに恵まれました。

各展示会の思い出の記事はこちら


そんなご縁で、ヨーロッパの家具や照明を日本の物件に入れるためのバイヤー兼輸出のお手伝い、それを使った日本の物件でのインテリアデザインのお仕事も受けるようになりました。日本にもすでに多くの海外アイテムがありますが、ヨーロッパにはまだ知られていないアイテムがたくさんあるのです。


日本からヨーロッパに来ることは簡単ではありません。だからこそロンドンベースの私がお手伝いできることは多いと思いました。おかげで貿易関係の方々とのつながりもでき、このお仕事は今も拡大しています。




それと日本のインテリアデザイナーの方々のロンドンデザイン留学のお手伝いをさせて頂けたことも、大きな学びと素晴らしい経験になりました。”ブログ記事:一期一会の学びの場。ロンドンインテリアデザイン留学のお手伝いで感じたこと” はこちら







またご縁あって、インテリアイベントを企画してセミナーやツアーを開催したり、日本からのツアーのお手伝いもさせて頂いたりもしました。

”ブログ:インテリアワークショップ&ツアーを行いました!”はこちら





こうして並べると仕事内容が多岐に渡ってみえますね。。でも軸はひとつのように思えます。



「インテリアで日本とイギリスを繋ぎたい。

ロンドンベースの日本人デザイナーとしての仕事をしていきたい」



そう思う私にとって、このように多様なお仕事をさせて頂けることは、とても嬉しくそれぞれから違う角度で気づきがあります。

なかなか子供に恵まれないことに苦い気持ちを抱えつつ、それでも“自分にできることをしよう”と様々なことにチャレンジしていました。その中でご縁あって少しずつ実ったお仕事の数々でした。ぜひこれからも続き、成長して欲しいお仕事の数々です。


余談ですが、子供の頃から興味あった職業はいろいろありました。ツアーコンダクターだったり、書くことや話すことを仕事にしたいと思ったこともありました。不思議ですが、それらの要素を少しずつ実現している気がします。


そして、ついに念願の妊娠!

40歳を迎えてしまい、かなり諦めの気持ちになっていたのですが、起こってくれた奇跡にただ感謝です。

これからの人生の新しいステージを楽しみにしつつ、またそこから学ぶことを自分のデザインに活かしていきたいと思っています。








1 Comment


初めまして。私も将来的にはインテリアのデザインやコーディネート関係の仕事に就きたいと思い色々調べていたところ洋子さんの記事を見つけました

私も洋子さんのように留学してさまざまな国のインテリアを知りたいと思い留学に興味を持ちました。元々海外には興味はありましたが私には無理と思い諦めてしまっていたけど洋子さんの文章を読んで希望が持てました!

私はまだ10代です。これから洋子さんのように自分の夢を叶える為に頑張ろうと思っています。

そこで質問があります。留学では語学留学の他に、様々な国のインテリアを学ぶための留学などはありますか?

私はまだ学生というのもあってそこら辺の知識が無くて、調べてみたもののよくわかりませんでした。

このような質問ですみません。

返信頂けると嬉しいです😞

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こんにちは!齊藤洋子です。

ロンドン在住のインテリアデザイナーです。

仕事、旅の思い出、海外生活の様子を綴っています。

趣味:

街歩き、お屋敷巡り、歴史探索、インテリア、アート、アンティーク、工芸品を見ること。 

座右の銘:

一期一会、温故知新、七転び八起き

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