2)人生の価値観が変わったイギリスとカナダでの日々
私の“インテリアデザイナーとしての今までの道のり”シリーズ 全4回の今回は2回目です。
前回のお話
2) 人生の価値観が変わったイギリスとカナダでの日々
イギリスでの最初の1年間は語学留学でしたが、それと共に日本ではしないことをしようと思いました。
ロンドンでの語学学校通いの期間以外は、日本人はおろかアジア人もいないような田舎の小学校で授業の手伝いのボランティアをしたり、夏のコッツウォルズの築1000年のお城のある庭園でガーデニングのお手伝いをしたりもしました。
築数百年の家の内部をリノベーションして住むのが普通。外観は17~18世紀ですが、内部は21世紀です。歴史を生かし未来につなぐ、そのことにも感動しました。
ご近所さんはインテリアが好きだというと、惜しみなく家中を披露してくれます。
こんな風に考えてインテリアを作ったの、とか、これはおばあさんから受け継いだ200年前のイスを張り替えて使っている、等々。一般人でもその情熱と知識量がすごい。さすが「家は城」の国だと実感しました。
イギリスらしい田舎生活と、マルチカルチャーなロンドンでの生活の両方を体験できた、学び多く欠け替えのない日々です。実際は辛く涙することも多々あり、日々チャレンジの連続!でしたが、一日一日が「生きている」という実感に溢れていました。
どこかにこんな世界があったんだと、人生の価値観が大きく変わった日々になりました。
1年の留学を得て、日本に帰国しました。
もっと世界を見たいという気持ちと、今度は「海外でインテリアの仕事をしたい」という欲が出てきた私は今度はカナダへ行くことにしました。出発前には都内のキッチンショールームで働き貯金をしつつ準備をしました。
カナダのバンクーバーについてからは、早速仕事探しを始め、運良くとあるキッチンやバスルームショップでの仕事が決まりました。日本ではシステムキッチン、ユニットバスが主流ですが、イギリスやカナダではそれがなく、多くが自由なデザインです。空間の広さもそうですが、何しろ多様なデザイン、自由なアイデアを形にする、というのがとても楽しく勉強になりました。
それと共に、地元のカレッジに通って、インテリアデザインを学び始めました。日本ではインテリアコーディネーター資格を取って仕事に就いたのですが、やはりきちんと「インテリアデザイン」というものを勉強したい、思っていたのです。
学校は、バンクーバーにあるBritish Colombia Institute of Technologyという、公立カレッジです。構内に数十の建物がある巨大なカレッジで、インテリアデザインの他ににも、建築、電気系、給排水系、等々様々な技術訓練のコースがあり、作業服にヘルメットという工事現場にいそうな人々がうろうろしている、華やかさのかけらもない(笑)学校でした。
今はわかりませんが、当時のカナダは移民を積極的に受け入れていました。自国で経験があったとしてもそのまま同じに仕事に就けることは稀です。カレッジは、そういった方々が新しい環境に適応するために学ぶ場所、でもありました。またキャリアチェンジの人も多かったです。私は当時30代前半でしたが、クラスの中には40代、50代も多く、世界中からの様々な人種、年齢、バックグラウンドの同級生と過ごす日々は、“多様性”に満ち溢れた良い人生勉強の場になりました。
例えば、ある授業の中でグループワークがあった時のことです。
メンバーは、大学生の娘のいる50代女性、2人の小学生のママである30代女性、日本人の私。互いに、家事に育児に言葉に、と様々なハードルはありましたが、違いを認め合い、またそこから生まれる様々なアイデアは、デザインに彩りと個性を与えてくれました。
キッチン&バスのショールームでバイトをしつつ、カレッジに通う日々。勤務先からカレッジで学ぶための奨学金が出たことは金銭的に幸いでしたが、20代の東京での生活に比べると地味な日々でした。でも、好きなことを学べることがとても楽しく、夢中でした。思えば自分も家族も健康で好きなことができる、というのは幸せなことだとつくづく思います。
カレッジが終わる頃に、次のステップを考えていました。
日本に帰る前に、仕上げにロンドンでさらに数ヶ月インテリアデザインを学ぶことにしました。イギリスのデザインの奥深さに魅力を感じていたことと、当時遠距離交際中だったロンドン在住の彼に誘われたのがきっかけでした。
通ったのは、Chelsea College University of the Arts London, Interior Design Module3という社会人向けコースです。学校のカリキュラムと自分のレベルから判断して選びました。
結果的にはこの留学をきっかけに結婚することになり、イギリスに移住することになりました。
好奇心のままに、日本、イギリス、カナダと3つの異なる国で暮らし、学び、働いた30代前半でした。3種類の異なる地域、また1つの国でも首都と地方というタイプの異なる都市で暮らした経験は、30歳までほぼ東京しか知らなかった私にとっては、とても貴重なものになりました。
語学やインテリアはもちろんのこと、それぞれの文化や社会、人々のライフスタイル、歴史等々。様々な人々との関わりを通し、多様性の中で自分を客観的に見て学んだこと。それは“みんな違って、それぞれに良さや特徴がある。それが個性”ということ。
兄からは「糸の切れた凧」と笑われていましたが、ポーランド出身の夫と共にイギリスのロンドンに定住することになりました。
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