地球の裏側から住まいづくり3)どこから始める?
さて、住まい作りと意気込んだものの、どこから始めるか考えてしまいました。
東京に住んでいた時は、インテリアコーディネーターとして新築住宅のコーディネートに携わっていた私。
(だいぶ前のことですが…)
しかも日本の家づくりは建築とインテリアが分かれていて、コーディネーターが入る頃には家という「箱」のプランは出来上がり、もう工事中だったように思います。(そう、だからインテリアと建築が上手につながれていないジレンマも時にあったのです!)
そんな記憶を辿りつつ、まずは「日本での家づくり」の選択肢をもう一度調べ直しました。
建売購入は別として、住宅を「建てる」場合の一般的な依頼先としては、
ハウスメーカー
工務店
設計事務所(建築家)
になるでしょう。(うちの場合はスケルトンリノベーションという選択肢もありましたが、新築と同様に考えました。)
違いについてはここでは詳しく書きませんが、このプロジェクトにおいては建築家に頼もうと思っていました。
こだわりの家を作りたい。
私自身もデザイナーとしてできるだけ加わりたい。
それにより下げられるコストは下げたい。
というのがあったからです。つまり要望が多く、白紙から作るものでなければ合わないと感じたのです。
「デザイナーとして加わる」とは言え、私自身はその建築家の事務所で働いているわけではなく、しかもロンドン在住なので、独立した位置付けで「施主側の代理人」のようになるのでしょう。実際イギリスのインテリアデザイナーはそのような位置付けですが、日本はどうだったかなぁ。
私の遠い記憶と調べた限りでは、日本の家づくりはとても「システム化」されていて、一度どこかに頼んだら、そこから関連するところの中で全てが進んで行き、あまりフレキシブルなプロジェクトの進め方はできなさそうな気がしていました。頼む先にもよると思うのですが。
まずは日本でもいろいろ動いてみようと、約1年半振りに日本に戻りました。
何しろ1年半振りです。(その前は2年半ぶりに戻ったこともありましたが…)
羽田に着くなり、日本へ初めて来る観光客のようにあちらこちらをキョロキョロ…。
見慣れたような、それでいて何か違う景色は、何だかデジャヴのようです。
周囲の外国人の友達から言われる「日本って…!」という感想に、昔なら「そうかなぁ?」なんて思っていたのに、その時は心から頷いてしまいました。
何しろ一番びっくりしたのは、視界に入る人の大半が「日本人」だということです。笑
当たり前ですが、いろんな人種に囲まれる環境にいるのがいつの間にか普通になっていた自分の感覚に驚きました。
さて、日本に戻るなり、さっそく建築家の方にお目にかかることになりました。
近所の最近新築された方が、前のおうちからの古材も上手に使った自然素材のおうちにお住まいで、母はそれが大のお気に入り。さっそくその建築家の方を紹介して頂いたのです。
その前に家族会議を行い、新しい住まいについていろいろと話し合い、リクエストを出しました。
もちろんリクエストの全てが叶う訳ではないですが、最初に「どう暮らしたいか」を考えて、要望を思いつくままに書き出し優先順位を明確にすること、は必要なプロセスです。この段階で出ないアイデアが後で叶うことはまずないのです。
うちの両親は家作りの素人なので、どうしても「間取りは、キッチンは…」と家の中のわかりやすいところから入りがちですが、敢えて「ライフスタイルの見直し」という一歩引いたところから考えてもらうようにしました。
その上で、私の方でコンセプト(目指す方向)の下書きも作りました。リクエストをどのように家に取り入れるか、という案です。
最初のミーティングでは、最近の家作りの動向なども伺いました。
何と東京オリンピックの影響で建材価格が高騰し続けているというのです!!
もちろん注文住宅なので、工法や仕様等々で価格には雲泥の際があることはもちろんですが…。
「まぁ、その感じだと、だいたい…(←とても言いづらそうでしたが)坪○○万以上はかかるでしょうね〜」
「…(びっくり!!)」
想定以上の価格帯でした。経験やご近所からの情報収集の上に立てた予算もそんなに的外れではないと思うのですが、何しろ特に高騰中らしいのです。
オリンピックが過ぎれば下がるのでしょうが…そこまで待てません。
両親は基本的に年金生活のため、ローンも組めず、老後の資金もある程度は残しておきたいので、限られた中で作らねばなりません
土地が小さいので、当初は地下室も作って、3階建と漠然と考えていました。笑
しかし、♥️♥️3階建&地下室♥️♥️という儚い夢はあっさり吹き飛ばされ、「夢の家作り」で盛り上がった分だけ、ジェットコースターのごとく一気に落ちました。
「素敵な老後の暮らしとか無理じゃない?」という不安が、すきま風のように吹き込み、その日の夕食時の侘しさと言ったら…しーん・・・。まるでお通夜のようでした。
地球の裏側から意気揚々と戻って早々に…「夢と現実」という壁に当たりました。さぁ、どうしよう!?
私にできることと言えばデザイナーとして知恵を絞り、代わりに動くことでしょう。まさしく「クライアントの代理人」です。
うーん、何とか両親の希望のライフスタイルが叶う家を、限られた予算内で、使えるものを上手に使ってつくりたい。(わがままですが。笑)
何とかいい方法はないかと、あれこれ考える1年半振りの実家での夜なのでした。
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