ミラノの思い出3:北イタリア、レザーと世界遺産建築をめぐる1日旅
”北イタリア、レザーと世界遺産建築をめぐる1日旅” 編。
さてミラノの思い出3は、会場でもなく街でもなく、番外編です。
会場と街の展示の様子はこちらから:
これは、日本にあるAnonimo Designという会社の代表の黒澤さんご企画のツアー。お取り扱いのStudioart というレザーウォールが有名な会社の、皮のなめし工場見学です。そして、近くの世界遺産建築を巡る日帰り旅。
Studioart はその上質なイタリアンレザーでイギリスでも大人気のブランドです。ウェブサイト(イタリア語、英語)はこちら。
イタリアと言えば、レザー!本場で工場見学ができるなんて、またとないチャンスです!
それに加えて、Vicenzaという町にあるVilla La Rotonda(ヴィラ·ロトンダ)という世界遺産建築を見学するという豪華な1日!
工場見学、大好きです!
そのものがどのようなプロセスを経て作られるのか、そこにどのような技術やテクニックがあるのか。そんな舞台裏を見られるのはとてもワクワク!!します。
それとともに、私がさらに楽しみだったのは、ヴィラ·ロトンダです。なぜかと言うと、今年の私は密かに(?)イギリスのネオクラシカル建築のお屋敷巡りをしているのですが、それらの建築家が影響を多く受けたのがこのヴィラ·ロトンダなのです。ミラノの目的はミラノデザインウィークですが、個人的にはこのツアーが一番楽しみだったかもしれません。笑
このエキサイティングな1日は、朝のミラノ中央駅から始まりました。
電車に乗って約1時間、Vicenzaという街に向かいます。
工場に着くまでに一体何杯のエスプレッソを飲んだことでしょう。。こんなにたくさん飲んで皆さん胃が痛くならないのか不思議です。
こちらはなめし工場内のショールーム。これから製造の舞台裏へお邪魔します!
なめし工場内の様子は写真には撮れませんでしたが、食肉工場で塩漬けになった皮が到着する場所から、それが洗われて、最初の染色、乾燥、2度目の着色、表面の加工、さらにそれがどのように製品になるか、まで!の全行程を見せて頂けました。
最初に加工前の皮を見た私の印象は、”巨大な鶏皮(?)”でしたが、多くのプロセスを得て見事な革製品に変貌!いつも身近にあった革製品。すっかり私の革製品への見方が変わりました。
見学の最後は、工場内のショールームへ。ここで作られた製品が展示されています。どれもあのプロセスを得てここに来ているのだと思うと、感慨深く。。。
Studioart主力製品のウォールレザー。壁にかかる様はまるでアートのようです。
キャビネットのドアの仕上げ材にもなります。
レザーに絵まで描かれています。
グラデーションの色使いは今年の新作。
刺繍の入ったレザーウォールです。
最後は、お世話になったStudioartの方と、ツアーを企画して下さった黒澤さん(右)と一緒に記念撮影。
自分では尋ねられない場所を見せて頂けて、とても貴重な学びの機会を頂きました。
すでにレザーに対する見方がだいぶ変わりましたが、レザーの1日はまだまだ続きます。
素敵な場所でのランチをはさんで、今度は別のレザーの会社、Prideへ。ウェブサイト(英語、イタリア語)はこちら。
先程とはまた雰囲気の違うレザーアイテム。こちらの主力商品はレザーのフローリング!
恐れ多くて、、踏めません。笑
こんなにいろいろなレザーの使い方、色や仕上げがあるんですね。。すっかりレザーに染まった1日です!
さて、時間が押す中で目指すは Villa La Rotonda (ヴィラ·ロトンダ)。
Andrea Palladio(アンドレーア・パッラーディオ)という建築家が16世紀後半に設計したルネッサンス建築です。実際は彼が設計を開始し彼の死後に完成しました。現在はこの建築を含め街全体が世界遺産登録されています。
Andrea Palladioは元々ローマとギリシャの建築に深い影響を受け、また後世のヨーロッパの建築様式にも、Palladian Architecture (パッラーディオ建築) として大きな影響を及ぼしていることで知られています。
あいにくの小雨でしたが、500年を経ているとは思えない不変の美しさがありました。
元々はバチカンの引退した司祭の郊外の別荘として建てられたこのヴィラ·ロトンダ。インスピレーションの元と言われるものは多くあるようですが、ローマにあるパンテオンからも影響を受けているようです。どこを見ても左右対称、数学的な計算に基づいた精密なデザインは、清々しくとても美しいです。
余談になりますが、私、お屋敷巡りが大好きです。
テーマを決めて、いろいろ回っては理解を深めるようにしています。
今年のテーマはネオクラシカル建築。当時の建築家としてはロバートアダムが有名ですね。その美しいプロポーション、上品な色使いに魅了されて、無知ながらさらに理解を深めたくお屋敷巡りを始めました。
そんな中で今回ミラノに来る前にぜひ行きたかったのが、Chiswick House. (チジックハウス). 何とこの建物を設計した建築家はこのヴィラ·ロトンダの影響を受けているとのこと!
それは見逃せない、ということでミラノに行く直前に行って来ました。
このChiswick Houseはロンドン西部のChiswickにあります。ウェブサイト(英語)はこちら
比べてみると、外観からも影響を受けていることがよくわかります。
この建物から影響を受けたと言われるChiswick Houseを見ていたこともあり、ヴィラ·ロトンダをより感慨深く拝見できました。
Vicenzaの街もこじんまりとしつつも、とても趣ある街でした。
中心地の通りの名前はアンドレーア・パッラーディオ。
石畳の通りには、おしゃれなお店が軒を連ねています。(写真ではわかりづらいのですが)
街の中心地、Piazza dei Signori (シニョーリ広場)にある公会堂Basilica Palladiana (バジリカ パッラディアーナ)と1174年に建設が開始し数百年後に完成したという時計塔のビザーラ塔。
素晴らしいツアーを企画して下さった黒澤さんには感謝しております。
駆け足ながらもとても実り多い1日でした。
今度は1泊くらいゆっくりして、街の魅力を味わいたいと思える素敵な街でした。
今回のミラノでは、メインの展示の他にもイタリアの魅力を味わうことができてとても学びが多い旅になりました。これからもこのミラノデザインウィークには多く来ると思いますが、展示会場以外にもその国の歴史や文化への理解も深めていきたいと思います。