伝統を未来へつなげる、京都への旅。
11月5、6日に、約8年振り?の京都へ行って参りました。
お天気もよく新幹線の中からはきれいな富士山が!思わず目を奪われます。
末広がりの優雅な佇まいはまさしく日本の美。
でも、上に雪のない富士山は、何だか粉砂糖のかかっていないガトーショコラのようですね。(←変な例え)
さて、京都行きの理由はこちら!
BIID(英国インテリアデザイン協会)日本人メンバーの会によるの大きなイベントがあったのです!
テーマは「京都の伝統工芸と、英国トップデザイナーの競演」
来日中のイギリストップデザイナー他、BIID日本人メンバー、伝統工芸専門家などのゲストスピーカーが豪華に集結した、大盛況の何とも内容の濃い5時間にも及ぶシンポジウムでした。
詳細だけで1冊の本になりそうな内容!(ぜひなって欲しいです!)
とりわけ、最後の全員が集結してのパネルディスカッションが、まさしく豪華競演!!
個人的にとても興味深かったです。
熱い議論からは、多くの名言が出ました!
そして、翌日には伝統工芸や歴史的名建築に触れるツアーも!
着物の絵付け工房、和紙工房、宇治の平等院鳳凰堂、京町家でのランチ、相国寺で生誕300年記念の伊藤若沖展、西陣織手織り工房見学、美しい和菓子と一緒にお抹茶を頂いたり…
シンポジウム同様に、とても濃い内容の伝統工芸ツアーにも参加させて頂きました。
ここまでのアレンジはとても大変だったと思いますが、心より感謝申し上げます。
さらに、とても贅沢なことに、これらの素晴らしいイベントに、来日中のトップデザイナーの身近で参加でき、彼らの視点や何気ないつぶやきに触れることがができたのは、本当に貴重な経験でした。
この2日間を通じて改めて実感したのは、日本の伝統工芸の素晴らしさと、それを受け継いで行くことの重要性でした。
パネルディスカッションでの言葉は、私なりの理解ですが、素直に心に染み入りました。
「日本の戦後のライフスタイルは移り変わり、畳は衰退し、民芸的な工芸が日常から消えて行った。伝統工芸はハレのツールになり、職人の腕、スキルが究極を求め出し、高価になってしまった」
「伝統は、いいものだから残り続けている」
「Heritage、継承したものは先人達が築き上げたアイデンティティであり、それは生かすべき」
「ハートは伝統、頭は新しく。伝統をインテリアに取り入れ未来につなぐ」
「未来へつなげていくために、伝統工芸は暮らしの一部であるべき」
「手仕事、手触りは子供の頃から感じることが大切」
その通りだと、素直に思いました。
そのために自分にできること。それは、
自分の文化やアイデンティティを大切にし、伝統工芸を日常生活に取り入れて暮らしていく、ということでしょうか。
海を越えた地球の裏側、イギリスで生きる私にとって、外へ出て日本の素晴らしさの多くに改めて気づきました。
それと同時に、この伝統が生活に深く根付いている国の生活で、その寄り添い方の上手さに感心させられることはとても多いです。
例えばそれは、新しいものを買うより、手間、時間、お金をかけても、祖父母から譲り受けた150年前のイスを直して使い続けることだったり、
ナショナルトラストやイングリッシュヘリテイジなどの団体により、歴史ある建物が修復、保存されつつ今も使われていることだったり、
家の歴史や特徴を生かしながらのリノベーションだったり、
そしてそれらは特別なことでもなく、誰でもどこでも普通に行われていて、見事に「今」と融合しています。
そんな日々の気づきはまた別に書いていこうと(これもまた、ある伝統?)築150年以上の橋の上に立つこちらの家の中から考えています。