イギリス生活をもっと楽しむ!ためのインテリアのお話@ロンドン日本クラブ
6月5日(水)にロンドンの日本クラブ主催にてインテリアのお話をさせて頂きました。
ご縁あって始まったこの企画は、去年(2018年)の4月、12月に続き、今回で3回目になります。
毎回多くの方にご参加頂き、とても嬉しく思います。貴重な機会をくださった日本クラブ様、そしてご参加の皆様にこの場を借りてお礼を申し上げたいと思います。
初回から、素晴らしい手縫いカーテンを作っていらっしゃるソフトファニシング専門の水野さん(写真左)と私(写真右)でセミナー全体の内容を考え、それに加えてゲスト講師をお招きしています。前回2018年12月より在英40年のアンティークスペシャリストの桑原さん(写真中央)にもご協力頂きアンティークのお話も入れるようになりました。”インテリアとアンティークでイギリス生活を10倍楽しむ!”というタイトルでお届けしています。
ここでは、そんな日本クラブでのセミナーを振り返りつつ、裏話?もお伝えしたいと思います。
日本クラブはロンドンにある日本企業が多く所属し会員の生活のサポートを主に行なっている団体です。会員の方は駐在員とそのご家族が多いですが、その他の永住者も多くいらっしゃいます。会員になると日本クラブ主催のイベントに参加できたり、様々な場所で割引が受けられたりと特典があり、私も会員になって以来、大活用させて頂いています。
そんな日本クラブで、以前よりインテリア関連のセミナーへのリクエストが多いけれど実現していなかった、ということでこのセミナーの話がスタートしたのは、2018年の初めでした。
さて、今だから言える裏話ではありますが、
実はこのセミナーからは毎回私自身も学ぶことが多くとても楽しみな反面、企画段階では話す内容について悩ましかったりもしてしまいます。
というのは、私がインテリアについて一般の方に話す時は、いつもは実際のお仕事を受けたクライエントに対して1対1のキャッチボールの会話、という状態が多いのです。例えば、その方のライフスタイルや好きなもの、お部屋の模様替えかキッチンをリノベーションしたいのか等に応じて、話す内容をアレンジしたり、切り口を変えたりしています。
でも、この日本クラブ主催セミナーでは、おかげさまで参加者がいつも満員の状況で約40-50名。住んでいる家の状態、年齢、家族構成、趣味、ライフスタイル、興味、インテリアへの知識や経験も様々な方に対しての、こちらからのお話です。いらっしゃった方皆様に楽しんで頂きたいと思うと、これで”わかりやすいかな?面白いかな?”と悩ましいことばかりです。
会員には様々な方がいらっしゃるのですが、共通点としては、現在イギリスに住んでいて、インテリアにご興味をお持ちということです。なので、ここでのセミナーは”入門編”として、”THE インテリアー改装を考えている方へ”という内容ではなく、まずはインテリアでイギリス生活を楽しくする!というのが当初からのテーマになりました。
3人でしているので、1人ずつの話は少しづつになってしまいます。
が、入門編としてはまずはいろいろな話が少しずつあった方が楽しめるかと思っています。そこから派生して、さらに興味がある方へは、項目別に別の企画をご用意したいと思っています。
私が今回お話した内容を簡単にご紹介します。
1)ロンドンでインテリアを楽しむ理由
実はロンドンは世界有数のデザイン都市なのです。
”そうなの~?”という感じかもしれませんね。
一般の方には知られていませんが、世界のトレンドに影響を与えるようなインテリアの展示会がロンドンで行われています。そして、私の周りの日本に住んでいるプロのインテリアデザイナーの、しかもご経験数十年!という方々がロンドンでの展示会を視察に来たりもするのです。その他デザイン関連の留学生が多いことからも、ロンドンがデザイン大国であることは伺えます。
とりあえず、そんな素晴らしい場所に住んでいる!ということなのです。
でも、だからどうやってインテリアを楽しむの?という感じですね。
なので、インテリアの楽しみ方、として、ご自分らしいインテリアづくりのために、ロンドンでの時間を使いましょう、というお話をしました。”インテリアの作り方”である、”インテリアを考えるプロセス”の話も入れました。
インテリアデザインの学校では必ず教えるのに、意外と知られていないと感じるのが、”インテリアを考えるプロセス”です。
これは私が仕事で最初にお客様にお会いした時に伝える話です。みなさん”そんな風に考えるのね!”と驚かれることが多いです。でも、これにそって考えていくと、最終的に満足度の高い結果になります。
インテリアを変えたかったら、とりあえずインテリアショップに行く、のはベストなことではないのです。
何々風スタイルではなく、自分らしいインテリアづくり(自分スタイル)のための第一歩は、まずは自分の好きなインテリアを見つけること。ロンドン生活の中で、時間をかけて自分の好きなインテリアを探してみる、というのが、ロンドンでインテリアを興味深く楽しむコツだと思います。
2)イギリスらしいインテリアスタイル
イギリスのインテリアスタイルは、この国の多様性を反映しているように多様です。イギリスだからアンティークが多い?なんて実際に住んでいたら思わないでしょう。
私が感じたイギリスらしいスタイルやその特徴、今の生活にも取り入れやすいインテリアテクニックをご紹介しました。
さて、インテリアについていろんなところで聞く声、、
”今は賃貸で何もできないんです。。。涙”
ちょっと足すだけで効果の大きいインテリアアイテム、これなら次のお引越し先にも持っていける、というものも合わせてご紹介しました。
3)帰国後の住まいづくりに活かすコツ
ロンドンで日本人の方と将来の家の話をしていると、よく聞きます。
”イギリス生活の思い出を生かして、将来日本で家づくりをしたい”
実際に私も数年前に東京の両親の家をスケルトンリノベーションした時は、私自身の海外生活の経験を盛り込みました。この家は和の家ですが、それでもエッセンスとして取り込める要素はいろいろあります。それぞれの国の家にそれぞれの良さがあります。良さを合わせてその家族らしい家を作りたいですよね。このセミナーでは家づくりの話はしませんが、とりあえずよく質問を頂く”お持ち帰りアイテムを帰国後の住まいづくりに活かすコツ”をお話しました。
先月5月にサカイ引越センターさんの引越しセミナーでも少しだけお話させて頂きましたが、皆さん興味深く聞いて頂けたようでした。
”持ち帰ること”が目的ではなくて、”持ち帰って活かすこと”が目的。そのために知っているとお得なことがあります。
せっかく持って帰ったのに日本の家には似合わなかった家具。
欲しいものがあったのに、最後に時間がなくて買えなかった。
す素敵な照明を見つけたけれど、日本では使えないと思っていたけれど。(電気業者さんに中を変えてもらえれば使えます)
次の場所で素敵に活かせるインテリアアイテムを、イギリス生活の中で時間をかけて探す、というのもとても楽しいですね。
最後は慌ただしかったですが、私のおすすめインテリアショップのご紹介も簡単にしました。このリストも作るのに悩ましかったです。。本当はその方によってオススメしたいところは違うのですが、、、まずは一般の方でも行けて、その場で買えるところをご紹介しました。
その他、プロ向けのところはたくさんあります。実際のお仕事では内容に応じてクライエントを連れていきますが、ここは一般の方が気軽に行って買うことはできないプロ向けの場所なのです。。こういうところにこそ、長く使えるお持ち帰りにふさわしいアイテムがたくさんあると思うのです。そういう要望も結構多いので、ぜひツアーをご用意できたらと思っています。
今回のセミナーでは、プロ向けですが、ソファ&チェアカンパニー(Sofa & Chair Company)という会社をご紹介しました。ここは何とアクトンにとても大きなショールームと工房があるのです。下の2枚の写真はウェブサイトからお借りしています。写真をクリックするとサイトにジャンプします。
この会社の主力製品は名前の通り、ソファ&チェアですが、テーブルやキャビネット、カーテンまで何でも揃います。
お持ち帰りにふさわしいイギリスのクラフトマンシップが息づく品質と、インテリアデザイナー御用達のディテールの細かいデザインが魅力です。
(Source:https://www.thesofaandchair.co.uk/)
アクトンにあるショールームは、多くのルームセッテイングがあり、お部屋作りの参考になるアイデアがたくさんあります。
(Source:https://www.thesofaandchair.co.uk/)
先日特別に工房を見せてもらいました。妥協を許さない高品質のものづくりの現場の全行程を見せて頂き、とても勉強になりました。こうしたプロセスを見れると、より特別に感じますね。一生物のソファとチェアです。この工房で一番印象的だったのは、働いている方が皆さん笑顔で楽しそうに働いていたことです。食べ物だと生産者の顔が見えると安心、というのは最近よく聞きますが、家具でも同じですね。
先週のセミナーが終わって、ちょっとホッとしています。
普段は個人の方と特定の現場についてお話することがほとんどなので、やはり40-50人の方、約100の瞳で見つめられつつ一方的に話すのは、緊張します。。
でも、ここでは私自身もとても気づかされることが多い、貴重な経験の場でもあります。
知っていることと伝えることは違います。
自分にとっても伝えると言うことで知っていることを改めて整理できますし、何をどのように伝えるかを考える事で、新しい視点を得ることがとても多いです。
また”インテリア”に素直に興味を持って下さる皆様を前にすると、私がどのようにインテリアに興味を持ち今に至るか、という初心に還ります。私のスタートも多くの皆さんと同じように、単純に自分の住む部屋を居心地よく素敵にしたいというものでした。
”家は城”と言われるイギリスでの、皆様の暮らしがインテリアでますます楽しくなるお手伝いができましたら幸いです。そして、これからもそんなインテリアの魅力を伝えられるように、頑張っていきたいと思います。